霧島山荘(LIXILメンバーズコンテスト 大賞受賞・グッドデザイン2016受賞)
自然と調和する家
温泉地として名高い鹿児島県霧島の別荘地に建つ住宅。お施主様は、鹿児島市内で病院を経営するご夫婦です。約三十年前にご主人のご両親が購入した別荘は、年月を経るにつれ、湿気によるカビや雨漏りが発生するようになり、また八十代のお母様が利用される際には、段差の多さも気になっていたそうです。
建て替えも検討しましたが、思い出の詰まった別荘を残すためにリフォームを決心しました。
リフォームにあたって重視したのは、自然との調和です。遠くに臨む霧島連山、家を取り囲む四季折々の草木、そして庭でひときわ存在感を放つ大きな一本桜。ここを購入するきっかけになったという桜を家の中にいても身近に感じられる造りが理想でした。
それを実現したのが、LDKとつながる広々としたウッドデッキ。室内との仕切りになる窓は間口を大きく取り、開け放せば室内と庭が一体化したかのようです。窓を閉めればまるで大きな絵画をみているようです。
バリアフリーで繋がるウッドデッキ
できるだけシンプルで美しいディテールにこだわり、部屋とウッドデッキの高低差をなくしました。
またウッドデッキには軒をつけ、雨や夏の日差しをしのげるように工夫されています。
カウンターテーブルも設置し、小鳥のさえずりを聞きながらゆっくり朝食を取るのが最高に楽しみになっています。
人が集まる場所へ
細かく区切られていた間取りは大胆に変更。3部屋に分かれていた1階の南側は開放的なLDKになり、段差も解消して自然と人が集まる場所になりました。荷物置場だった小屋裏は、多人数でも宿泊できるロフトに改修。どこにいても誰かの気配を感じられるよう、1階と2階は吹き抜けでつながっています。吹き抜けにみえるのは、元の躯体をいかした梁です。「古い梁がみえるでしょう。それがうれしいの。」とお母様。リノベーションだからこそ残せたものの一つです。
「ここに来るとみんなが子どもに戻ったみたいに元気になります。」と奥様。息を吹き返した別荘は、これからも数多くの想い出を生み出す場所になりそうです。