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一級建築士社長のブログ

【大型リノベーション事例】第二章:五感で感じる「霧島山荘」の全貌——空間と性能の劇的ビフォーアフター

前回の第1章では、お母様の「誰も来てくれなくなって寂しい」「大切な一本桜と温泉を守りたい」という切実な想い、そして設計士である私が建て替えではなく大型リノベーションを決意した背景をお伝えしました。

今回は第二章として、私が設計した「五感の森 霧島山荘」が具体的にどのような空間に生まれ変わったのかをご紹介します。

1. 庭とつながる「深い軒」と「ウッドデッキ」:自然を五感で楽しむ第二のリビング

今回の設計において、一番のキーポイントとなったのがリビングと庭をつなぐ「ウッドデッキ」と、それを包み込む「深い軒(のき)」です。

私たちは中間域と呼んでいます。

以前の家は、寒さや湿気を防ぐために開口部が小さく、せっかくの見事な庭や一本桜があるのに室内から十分に眺めることができませんでした。

そこで私は、リビングからフラットに続く大きなウッドデッキを新設。さらに、霧島の厳しい雨風や日差しを遮る「深い軒」を差し出すことで、天候を気にせず外の空気に触れられる「第二のリビング」をデザインしました。

  • 見る:額縁のように切り取られた空間から、春には満開の桜、夏には新緑、冬は雪景色を特等席で眺める

  • 聴く:深い軒を静かに叩く雨音や、朝の森に響き渡る鳥のさえずりに耳を澄ます

春にはこのウッドデッキに家族やお孫さんたちが集まり、満開の桜の下で朝食を取り、お花見を楽しむ最高の特等席となっています。

2. 間取りの一新:細かく区切られた部屋から、人が自然と集まる大空間へ

改修前の間取りは、昔ながらの細小に区切られた和室や廊下が多く、家族が集まってもどこか孤立感があり、昼間でも光が届かない暗い室内でした。

私は構造上の耐震性をしっかりと担保しながら壁を取り払い、大人数が一堂に会せる開放的な大空間LDKへと間取りを一新しました。

  • 気配が伝わる開放感:どこにいても家族の気配を感じられる空間

  • 香りと触感:床には足裏に心地よい「杉浮造(うづくり)仕上げ」の無垢材を採用。足を踏み入れた瞬間に杉の香りに包まれる

  • 集いの中心:みんなで料理や会話を楽しめるよう、部屋全体を見渡せるコの字型キッチンを配置

みんなで食卓を囲み、自然の恵みを味わいながら笑顔で語り合える、温かい集いの場が完成しました。

3. ロフトの新設:光と風が通り抜ける高天井の工夫

元の建物が持っていた「ダイナミックな小屋裏」(小動物が住んでいた)の魅力を活かし、新たに吹抜けとロフト空間を設けました。

窓を設けた吹抜けとロフトを作ったことで、これまで光が届かなかった家の中央まで優しい自然光が降り注ぐようになりました。また、高低差を利用した空気の流れが生まれ、夏の暑い時期でも風が通り抜ける爽やかな環境を実現しています。

遊び心あふれるロフトは、遊びにきたお孫さんたちが秘密基地のように駆け回る、大人気のスペースです。また大人数で宿泊もできるスペースです。

4. 傾いていた温泉の再生:絶景を望む極上のプライベート温泉へ

お母様が一番大好きで、そして「建物が傾いてお湯が抜けてしまう」と諦めかけていた天然温泉。私はこの温泉を、本来の癒やしの力を存分に発揮できるプライベート温泉へと生まれ変わらせました。

  • 基礎からの抜本的な補強:建物をジャッキアップして地面の基礎から頑丈に再建。安心してお湯を溜められる構造へ

  • 絶景を切り取る大開口:湯船に浸かりながら外の森の緑や季節の移ろいをゆったりと眺められる大きな窓を配置

  • 開放感あふれる空間設計:暗く湿気がこもりカビが心配だった浴室から、自然光が差し込む明るく清潔な癒やしの空間へ

「あたたかい温泉に入って、ゆっくりしていってほしい」というお母様のもてなしの心が形になった、至福の空間です。

5. 将来を見据えたバリアフリー設計:誰もが安心して過ごせる優しさ

80代のお母様がこれから先も長く安心して暮らせること、そして小さなお孫さんから車椅子のゲストまで誰もがストレスなく過ごせることは、設計士として譲れないポイントでした。

  • 完全フラットフロア:段差をなくし、つまずき事故を防止

  • ゆとりある動線:廊下やトイレ、脱衣室の幅を広く確保し、将来車椅子が必要になってもスムーズに移動可能

  • 車いすは玄関の段差からは来れないので、ウッドデッキにスロープを設置した。

安全面・耐震面・断熱面の性能向上という「見えない安心」を土台に据えることで、心からリラックスできる住まいへと変貌させました。

建築業界で高く評価されたダブル受賞の快挙

この「霧島山荘」プロジェクトは、完成後に建築・デザインの業界でも非常に高い評価をいただくことができました。

全国の数あるリノベーション事例の中から「日本一」となる大賞、そして優れたデザインに贈られるグッドデザイン賞をダブルで受賞できた理由は、単に見た目が美しいからではありません。

霧島の豊かな自然を取り込む設計コンセプト、思い出を受け継ぐリノベーション思想、見えない構造・断熱性能の劇的な向上、またその技術を後世に残して行く技術革新、そして何より「失われかけていた家族の繋がりを取り戻したストーリー性」が高く評価された結果でした。

まとめ:家族の笑顔と繋がりが戻ってきた場所

「誰も来てくれなくなって寂しい」

そうぽつりと漏らされていたお母様の家は、空間を切り開き、五感を満たす工夫を散りばめたことで、「誰もがまた帰りたくなる愛おしい家」へと劇的に生まれ変わりました。

春には満開の桜の下に家族やご親戚、お孫さんたちが集まり、かつて以上の笑い声が響き渡っています。

「古いから建て替えるしかない」と諦める前に、住まいに刻まれた思い出や潜在的な魅力を活かす「大型リノベーション」という選択肢を考えてみませんか? ベルハウジングはこれからも、一棟一棟の建物とご家族の想いに寄り添う住まいづくりを届けてまいります。

(株)ベルハウジング 一級建築士 松田英之

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